静かに佇む筒形容器は、平安時代末期のタイムカプセルのようなもの。
やや粗い陶土の須恵器製で、質実剛健の趣です。
当時は末法思想が流行る不安な時代。貴族たちは、写経等が入った銅製経筒を土中に埋納し経塚を造築しました。
この外容器は、経筒が破損しないように保管するカプセルだったのです。
56億7000万年後に弥勒菩薩が再来された時に救済されたいがための行為でした。
経塚は、見晴らしのよい山腹や寺院の境内から発見、発掘されています。
この経筒外容器は、関東、北陸以北の経塚のものに見えます。
蓋にわずかな欠けがあるだけで、奇跡的によい保存状態です。
(高さ約28センチ<蓋付31センチ>、口径20センチ、底径19センチ)