これは、めったに眼にすることがない大型の風鐸。
私にとっては「奇跡的」な出会いです。
これだけの大きさから見て、国分寺などで五重塔などの大きな建造物に
取り付けられていたものと思われます。
梵鐘を小さくしたような形ですが、鋳造は薄手で、銅鐸のようにシャープです。
上部には乳とよばれるポツポツがあり、下部には斜め格子の文様があります。
時代判定は資料が少ないので難しいのですが、鎌倉以前というところでしょうか。
実は、この風鐸は江戸時代後期〜幕末頃に発掘され、
当時の茶人によって風炉に転用されて長いこと使われてきたものでした。
私が最初に眼にしたときは、灰や五徳も入っていて現役の風炉の状態でした。
残念なことに、風鐸最上部の釣り手は削り取られ、
古い板が打ち付けられて、風炉の土台になっていました。
それには、江戸期の釘が使われていました。
古い板の取り外しは比較的簡単でしたが、両脇についていた青銅製の獅子の取っ手
(これも江戸中期頃のもの)の取り外しがなかなかできず、修理業者さんに依頼しました。
その際、最上部と取っ手の釘穴6箇所の穴埋めもしてもらい、
風鐸としてよみがえりました。
(長最大27センチ)