一度手元をはなれ、十数年振りに帰ってきた金剛薩た(こんごうさった)像です。
端正で、内に秘めた力があっていいですね。
彫刻的な完成度は驚くばかり。工房作品というよりは力量のある仏師の一点ものです。
私の仏教美術の先生が「これは金銅仏の原形だよ」と教えてくれました。
確かに、装飾を抑えたシンプルなつくりは、型どりに適した造形に見えます。
私が「金銅仏の原形」という言葉を耳にするようになったのは、6~7年位前からのことです。金銅仏の鋳造技術について、12世紀に入り蝋型から木彫の型どりに変わったという研究は今では定説になったようです。
この木彫仏は鎌倉時代前期~中期にさかのぼるもの。
小像ですが、ミュージアムピースと妄想したくなります。
修理はなく、抜群の保存状態です。
蓮台は後世のものです。
(蓮台を除く本体 高さ20,5センチ)
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