
このパステル画は、楢重(1887-1931)の初期の作品です。
何度も写生に訪れた奈良の風景と思われます。
後の大胆でデフォルメされた線はまだ表れていませんが、実に素直で爽やかな風が吹いています。
私が楢重の凄さを知ったのは、数年前のこと。
アーティソン(旧ブリジストン)美術館で、大作「帽子を冠れる肖像」を見てからです。
1921年、夢にまで見た渡欧を果たしたのに「くだらない絵を見すぎた」と、半年余りで帰国。
その後2年で、モダンで自信たっぷりの自画像を描いた精神に驚いたものでした。
(紙にパステル30×39センチ、額51×64センチ)