この呉器茶碗は、今までに手にした高麗茶碗にはない気品を感じます。
両手に収めたときの感覚は、古手の楽のような心地よさがあります。
釉薬はほんのり紅葉色に発色、口はかすかにゆがみ、見込みは深く、高台から上に広がっていく姿形は独特のものです。
呉器は、高麗茶碗のなかでも謎の多い茶碗です。野趣あふれるものから優雅なものまでいろいろ。
時代も用途も諸説あり、伝世している数は僅かです。
写真の呉器は、朝鮮の釜山窯に注文してつくられた御本呉器茶碗の初期(17世紀)のように見えます。
高台内には、朱漆による花押があります。松平不昧にも、近世の茶人平瀬露香にも見えるのですが、特定できません。
写真にあるように、ワレ、ニュウの古い修理があります。
古い保存箱と仕覆が付きます。
(口径13,3~13,8、高さ8センチ、高台径5,5センチ)
<売約済みになりました>