高い冠を被り、片耳だけの耳飾り、中腰で両手に祭器を抱く、ニアス独得の祖先像です。
堅い木をスパッと削り、抽象性際立つ造形感覚がいいですね。
このキリリとしたタイプ、欧米においては評価されても、味わいと調和を好む日本ではなかなか難しいかもしれません。
つくられたのは、1900年代初頭、ニアス中部です。
同じニアスの祖先像でも、南部のものは緩く穏やかな造形です。
ニアス木彫は今でも造り続けられています。
信仰の対象であったプリミティブと、バイヤーや観光客を対象にした工芸品との区別が難しい分野です。
(高さ77センチ、重さ4キロ)