本多錦吉郎(1851嘉永3年-1921大正10年)が描いた油絵「南紀 潮の岬灯台」です。
明治初期に、このような迫力あるリアリズムの絵が描かれていたことが驚きです。
(同時代の高橋由一でさえ風景画は凡庸でした)
錦吉郎は1874(明治7)年、英国帰りの国沢新九郎の画塾に入り、翌年には塾頭になります。
1877(明治10)年には国沢が病死し、画塾を引き継ぐことになります。
この絵は、国沢が英国から持ち帰った画材が使われていて、油絵の発色は抜群です。
絵の中には、八角形の木製灯台が描かれています。
灯台は1878(明治11)年に石造に建て替えられているので、
描かれた時代を推定する参考になります。
おそらく、この絵は1875(明治8)年~1877(明治10)年頃に描かれたと思われます。
錦吉郎の油絵は3点しか残っていません。
(紙に油41センチ×53センチ、額54,5センチ×66,5センチ)