政宗得三郎(1883-1962)は、「色彩の音楽」をめざしていて明るい絵が多いのですが、
この初期作は静寂に沈むような異色作です。
得三郎が第一回目の渡欧でパリについたのは1914(大正3)年の6月です。
翌月の7月28日、第一次世界大戦がはじまります。
一時、島崎藤村とともにリモージュに避難しますが、同年11月にはパリに戻ります。
この絵はその頃の作と思われ、小品ですが戦時下のパリを描いた佳品です。
絵の裏には「1913年 政宗得三郎」の墨書きがあります。
実際には1914年の作品で、西暦換算を間違えて書いたと思われます。
(板に油 20,5×27センチ、額41×46センチ)